学校・教職員のみなさまへ
ご挨拶
近年、わが国でもいわゆるLGBT(性的マイノリティ)に対する理解が急速に進んでいますが、その速さがゆえに国民の間に大きな情報格差が広がっています。東京と地方、自治体、組織の別など、かなりの差異が生じています。
一部自治体や企業・各種団体においても先駆的にLGBTのための制度を創設していますが、その思いとは裏腹に当事者の利用はほとんど増加していない現実もあります。
これは、そもそもLGBTの抱える生活上の困難が、基本的人権に関わる課題の克服であって、人権課題の解消には、「差別禁止」や「ダイバーシティ&インクルージョン」に代表されるようなトップダウン型の施策では、当事者、非当事者を問わず、肝心の心の涵養が進まないからです。
特に学校教育の現場では、いきなり制度を作りトップダウン型で推し進めると、心の涵養ができていない学生、児童・生徒に迷いが生じます。その結果として、言動の方向を誤り、思いがけない深刻ないじめにつながることが危惧されます。
理解が広がっていない中で、いきなり差別を禁止しても、差別はなくなるどころか、予期せぬバッククラッシュを引き起こしかねません。
また、一般的にLGBTと総称されてはいますが、L・G・B・Tそれぞれに抱える問題が大きく異なり、啓発をする場合においても、「LGBTのために」という括りの発信は大きな誤解を生じ、当事者を混乱させてしまいます。
平成28年に、文部科学省初等中等局児童生徒課により「性同一性障害や性的指向・性自認に係る児童生徒に対するきめ細かな対応等の実施について」が、平成30年に、独立行政法人学生支援機構により「大学等における性的指向・性自認の多様なあり方の理解増進に向けて」が作成されました。当会は、わが国のLGBT教育の指針となるこの二つの重要な資料の作成に協力させていただいた唯一の団体です。
当会は、わが国のLGBT教育を推進する中で、「理解増進」を基軸にした偏りのない発信をすべく活動を進めて参りますので、皆さま方のご理解とご支援をよろしくお願い申し上げます。
学校・教職員の皆さまに求められること
学校におけるLGBTについての理解増進施策として、次の三点が挙げられます。
1.学生、児童・生徒に対する基礎知識に関する普及・啓発
当事者を招いての授業や講演会に十分な注意が必要です。
現在、LGBTに関する講師には、何の資格も必要ではなく、個人の経験や見解に基づくものには、誤解や大きな偏りが見受けられます。ホームページにおいて大々的に過去の実績をPRしているところでも注意が必要です。文科省も指摘していますが、中には、「同性婚ができればそれで全ての問題が解決する」といった極端な内容を盛り込む講師も散見されます。
当会は、政府・与党と連携して、LGBTの基本法の成立を目指して活動をすることを目的に設立した唯一の団体です。当会の活動は、人権教育および人権啓発に関する法律に基づくもので、カミングアウトした強い立場の当事者や支援者による「差別禁止や権利獲得運動」ではなく、しっかりと学生、児童生徒の心の涵養を進め、カミングアウトしていない当事者にも受け入れやすい啓発に重点を置いています。大多数の当事者はカミングアウトしておりませんので、その立場に寄り添うことが大切なのです。
2.教職員に対する基礎知識に関する普及・啓発
職場のスタッフに当事者職員がいるということへの配慮です。早急な啓発や支援施策は、当事者職員のストレスとなり返って困惑させてしまいます。
3.職場におけるリスクマネジメント
カミングアウトした当事者の対応を誤ると、場合によっては大きな社会的問題にもなりかねません。特に初期対応が大事です。
研修会・講演会の講師派遣について
当会では、当会役員をはじめ、現在、(公財)日本看護協会と協働した講師派遣事業を計画しており、既定の研修を修了した看護師、保健師等を講師として全国各地に派遣しています。役員、教職員研修をはじめ、学生・児童生徒に対する後援会等にぜひご活用下さい。
ご予算に応じてご相談が可能です。お気軽にお問い合わせ下さい。